“狂気”の更にその先も。テスラ モデルS P85Dに早くも試乗! Part.3

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とは言え、モデルSはそもそも速いクルマ。特に電気モーターの特性を活かした発進加速は強烈で、P85Dの場合、それは「SPORT」モードでも十分味わえる。おかげで乗っていると免疫が出来るのだろう。率直に言って、失神しそうなほど……ではなかった。むしろ後輪駆動の85Sとの比較で言えば、加速自体ははるかにこちらの方が強烈ではあるものの、4輪駆動の安定感のおかげで、むしろ落ち着きすら感じるのだ。記憶の中の85Sの方が刺激的、というか荒っぽかった。良し悪しは別にして。
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そんなわけで「INSANE」モードは速度自体は「狂気」だったけれど、4輪駆動の安定性と優れた調律のおかげで、その狂気を冷静に引き出すことができたと言える。しかしながらテスラとしても、そんな人が居ることは想定の範囲なのだろう。オプションの「Ludicrous(ルーディクラス)」スピードへのアップグレードを行なえば0-100km/h加速を3.0秒にまで短縮することもできる。ちなみにこのモードでの0-400m加速は、実に10.9秒である。
一方でP85D、最大航続距離はNEDC(欧州モード)で491kmと、シングルモーターの85Dの528kmより、やや短い。今回は途中で充電を1回行なったため正確な電費は出せないのだが、計算上は酷い渋滞、それなりのペースでの高速道路の走行、フルパフォーマンスを試しつつのテストなどを行なうような走り方でも、350km前後は余裕で走行できそうだ。大人しく走れば、東京から仙台までノンストップで行けるのは、過去にシングルモーターのP85+でテスト済み。おそらく、そこは大差無いだろう。
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結論としてはこのモデルS P85D、物凄く痛快だった。いつでもどこでも即座に取り出せる速さ、懐深いコーナリング性能ももちろん魅力だが、それだけでなくますます進化して操る歓びさえもたらす新しいナビゲーションシステムや、大いにツカエる運転支援などがそれと相まって、あらゆる瞬間にこのクルマ独自の満足感が色濃く感じられるのがイイ。モデルS登場時に感じた「スゴい」という畏敬の念を超えて、「コイツと付き合ったら毎日楽しそう」と思うようになってしまったのである。
但し、試乗車の仕様はざっと1500万円。筆者には縁遠いが、ポルシェ パナメーラやアストン・マーティン ラピードが現実的な選択肢となっている方ならば、十分検討に値するはずだ。既報の通り、試乗会も積極的に行なわれているので、興味ある方はそろそろ一度、味わっておくといいだろう。
写真:編集部