ポルシェの600ps EV「ミッション E」のここが気になる。Part.2

12030853_974586675936272_372269382_n
最高出力600ps以上と謳うポルシェ「ミッション E」のエレクトリックパワートレインは、ポルシェ919ハイブリッドで使ったのとほぼ同じ永久磁石同期モーターを前後に2基配して、それぞれ前後輪を駆動する。0-100km/h加速は3.5秒以内。0-200km/hは12秒以内というスペックだ。
興味深いのは、既存の電気駆動システムと異なり、短時間に加減速を繰り返した後でも、即座にフルパワーを発生できることが挙げられる。大きなエネルギーを瞬時に出し入れできるキャパシタではなく、リチウムイオンバッテリーによってそれを実現している技術は、頻繁に加減速を行なうサーキットという苛酷な環境で鍛えられたものなのだろう。あるいは逆に、919ハイブリッドの速さの秘密の一端が、ここに明らかになったとも言えるかもしれない。ともあれ、レースと市販車が密接に結びついているのが、ポルシェの伝統なのである。
12032441_974586615936278_1194439324_n
最大航続距離500km。しかも15分以内の充電時間で約400kmの走行が可能というのも、ミッション Eの注目点のひとつ。これを可能にしているのが「ポルシェ・ターボ・チャージング」と呼ばれる800Vテクノロジーだ。通常の倍の電圧は、充電時間を短縮させるだけでなく、電流値を高める必要がなくエネルギー伝達用のケーブルを細くできるため軽量化にも繋がる。
P15_0782
800Vの充電ポートは左フェンダーに。他にも400Vの充電ステーションが利用可能であり、また自宅ガレージの床などに非接触充電器を埋め込めば、駐車するだけでケーブルの接続など無しに充電を行なうことも可能だという。
VWグループの中ではアウディがe-モビリティ技術開発の急先鋒を担っている。そんな中で登場した「ミッション E」だが、アウディ技術開発担当取締役のU.ハッケンベルグ博士によれば、新技術の開発の役割分担はまさにハッケンベルグ博士の担当であり、基礎的な研究開発が共同で行なわれたあとは、各ブランドがそれを進化、発展させていくという。
12016532_974586599269613_1893374997_n
筆者としては、現在のテスラが牽引するハイエンドEV市場を見る限り、この領域はポルシェが担うのがもっとも適しているのではないかと見る。但し、もし近い将来に現行ラインナップに新たにEV専用車が加わると考えると………パナメーラS e-hybridとの棲み分けをどうするかは、ちょっと悩ましいところではあるけれども。
Part.3に続く
Part.1を読む