MIRAI(の助手席)に乗って800km

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水素エネルギー社会を推進する政府公用車としての用途も考えてセダンボディを採用したとも言われる世界初の量産水素自動車MIRAI。お大臣気分になって、後席(と助手席)に座り続けて旅するとどんな事が見えてくるのでしょうか?
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先日、島下泰久氏がMIRAIに乗って名古屋まで出掛けた際に編集部Kもただひたすら後席(と助手席)に座ってみました。東京都心をスタートして、東名から新東名を経由して名古屋を往復するという往復約800kmのルートです。
水素自動車のMIRAIですが、走り出した瞬間から「水素だ!」と感じる事は実はあまりありません。電気自動車と同じように殆ど無音のままシューンと加速し、減速します(実際、電力の発生源がリチウムイオン電池か水素燃料電池かという違いがあるだけでMIRAIは電気自動車の一種です)。むしろ電気自動車というよりも新幹線に乗っているという感覚に近いでしょうか?ボディ形状やデザインから想像されるよりもボディの造りが遥かに剛性感にあふれていて、新幹線特有のガチッとした箱が振動なく走っていく印象に助手席や後席に乗っている限りMIRAIは似ています。
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一般的な電気自動車の場合、バッテリーでの走行距離を意識する余り遮音対策よりも軽量化が優先されているため高速巡航時は床下やウィンドーからの風切り音やロードノイズが気になりがちですが、MIRAIの場合は十分な遮音が施されているのが印象的です。政府公用車、重役送迎車として十分に通用する遮音性能と言えるでしょう。
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水素らしさを感じるのは、ドライバーがアクセルを踏み込んだ時に後席の後ろからシューンという水素ガスが燃料電池スタックに放出される音が聞こえるぐらいですが、完全な電気自動車(テスラ以外)に乗った時に常にメーターの残距離を心配してしまうという行動に出なくても良いほど航続可能距離があるというのは水素らしい特徴でしょうか?
実際に水素の再充填を一度行いましたが、こちらはものの3分で終わってしまうので、なんとも水素らしいと言えます。充填時には「ゴボゴボ」というのかと想像していたら「シューーン」という音と共にみるみるうちにホースに霜が出来ていく様は一見に値します。
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高速巡航時にエンジン車では避けられない、エンジン振動が常にフロアからビリビリと伝わってくる現象もモーター駆動のため当然皆無で、路面からの微振動も上手く吸収しているため助手席、後席に乗っていて快適です。これは、350kmを走破して名古屋で車両を降りた時に、普通のクルマだと感じる体のダルさが明らかに少なかった事からも感じられました。
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一方で、車両サイズはそこそこの大きさ(1815mm×4890mm)ですが、リアシートは小ぶりで、シートの造り自体は良いものの足元で余裕で足を組めるスペースは無く、身長170cmの編集部Kでも頭は姿勢良く座っていると、ぎりぎり天井に付くか付かないかという高さなので必要十分に広いとは言えません。助手席の広さ、シートの造りに関しては十分ですが左右方向には車幅に対してドライバーとの距離が意外に近いという印象を持ちます。
ただし、白内装の室内空間の作り方や後席から見える世界は文字通り未来感のある空間設計。後席左右、助手席の中から特等席を選ぶと助手席というのが800kmを乗ってみた印象です。
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トランクの広さはセダンとしては必要十分な広さを持っていますが、トランクスルー機能は持っていないためスキーなどの長尺物を積むには適していませんし、現状では東京からスキーに行くには水素ステーションの設置場所に難があります。後席足元には100Vコンセントがありますが、微妙に凹んでいるため、Appleのチャージャーなどは延長ケーブルを経由しないと上手く装着できない点はMIRAIにお呼ばれした時は留意する必要があります。
現在市販されているEV、FCVを横並びに考えた時に、長距離移動時の後席の快適性という点では、MIRAIはテスラ・モデルS、日産・リーフやe-NV200、BMW i3、三菱i-MiEVを大きく引き離して最も快適な一台なのは間違いないでしょう。
写真:編集部