マツダのEVはトヨタ/スバルのe-TNGAを使わず独自開発で。

ご存知の通りトヨタはマツダ、デンソーとともに2017年10月に合弁会社EV C.A.Spiritを設立している。代表取締役はトヨタ自動車の最高技術責任者である寺師茂樹氏が務めるが、出資割合は5%に過ぎないマツダからトヨタに匹敵する人数の技術者が参画し、また共同開発技術リーダーにはマツダの藤原清志副社長がついているのが興味深い。更に、現在はここにスバル、スズキ、ダイハツ、日野、いすゞ、ヤマハまでが参加し“EVの技術を、軽自動車からトラックまで。 電気自動車のコモンアーキテクチャの共同開発”している。

しかしながら今回のe-TNGAに関する発表にはマツダの名前は出てきていない。マツダは現時点では独自開発のEVを2020年に発売する予定としており、5月に発表された中期経営方針には“Smallアーキテクチャー”のラインナップの中に、これが含まれている。

生産量見込みはマツダの全生産量の5%程度の台数で、しかもそこにはあるいはロータリーエンジンかとも言われるレンジエクステンダー付きも含まれるという。年間販売180万台規模のマツダにとって、これは10万台にも満たない数字だし、レンジエクステンダー付きが設定されるとなれば、そもそもエンジン搭載を意図していないe-TNGAは使えないといった辺りが、マツダが加わらない理由だろう。

EV C.A.SpiritのEV専用基盤技術の共同開発は2020年を目処に完了するとされる。そのあと各社の商品化のフェイズに入ってくるわけだが、マツダがこれを用いた商品を展開するのがいつになるのか、そもそも展開するのかどうかは現状では未定のようである。

その一方でマツダが開発中であることを遂に公言した直列6気筒エンジンを縦置き搭載する“Largeアーキテクチャー”に関しては、よもやトヨタ/レクサスへの供給も? などという話が出ているのが、面白いところだ。もちろん、まだ願望含めた噂に過ぎないが、確かにここのところレクサス関係者の口からマツダの名前を耳にする機会、少なくないような……。

 

島下泰久