トヨタのグローバルEV戦略、そしてスバルとの共同開発の行方

トヨタは6月6日、EV専用プラットフォーム、そしてSUVタイプのEVをスバルと共同開発すると発表した。これまでスバルはEVに関して独自開発の方針をとっていたが、この合意により今度はこのトヨタとのタッグに注力していくことになる。

その翌日に行なわれたトヨタのEV普及に向けたプレゼンテーションでは、更に詳細が明らかにされている。日本以外の、様々な理由によりEV需要がすでに高まりつつ中国、アメリカ、ヨーロッパなどの地域向けに、トヨタは6種類のサイズ、スタイルのEVバリエーションを検討しており、これらすべてにトヨタとスバルが共同開発するEVプラットフォーム「e-TNGA」が使われることになる。

e-TNGAは読んで字の如くTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の電動化版。前後の電気モーターユニットやフード内レイアウト、衝突安全に影響する前輪に対するドライバーの乗車位置、バッテリーの幅などを固定部位とし、前後オーバーハングやホイールベースといった部位を変化させることで様々なバリエーションのクルマを作り出すものだ。

これを使ったミディアムSUVの企画、開発も、トヨタとスバルは共同で行なう。またコンパクトカーについてはスズキ、ダイハツとの共同企画が行なわれると発表された。

パワーコントロールユニット、電気モーター、ドライブシャフトを組み合わせたEVユニットも、やはりトヨタとスバルで共同開発する。前後アクスルそれぞれに搭載可能で、出力も複数種類用意される。FF、AWD、そしてRRレイアウトも可能になる。

さて、ファンとして気になるのは、やはりこの共同開発によって生まれるスバルのミディアムSUVが、きちんとスバルの味を持ったものになってくるのかということだろう。すでにトヨタとのコラボレーションとして、海外向けにはTHSⅡをボクサーユニットと組み合わせたプラグインハイブリッド車のクロストレック ハイブリッドがデビューしているが、水平対向エンジンもシンメトリカルAWDも使わず、どのようにスバルらしさをアピールしてくるのか。登場はまだ先だが、これも楽しみなところである。

 

島下泰久