メルセデス・ベンツが電動大型ミニバン「コンセプトEQV」を発表

電動モビリティのサブブランド、EQの新たな仲間は大型ミニバン。最大8名乗車が可能な大容量の室内空間を持ち、100kWhのリチウムイオンバッテリーの搭載により航続距離400kmを可能にするコンセプトEQVがジュネーブモーターショーに登場した。

見ての通りベースはVクラス。特筆すべきは室内空間のどこを見ても、EV化によって妥協を強いられてはいないことだ。フロアは低くフラットで、2列目、3列目シートにも余裕のスペースが確保されている。ラゲッジスペースもまったく犠牲とはされていない。

それを可能にした一番のポイントは最高出力150kWの電気モーター、トランスミッション、冷却システム、パワーエレクトロニクスを組み合わせた小型電動ドライブトレイン(eATS)をフロントに積み、前輪を駆動するレイアウトに改めたこと。FRレイアウトのVクラスにはあるドライブシャフトが無くなったことで、フロアに100kWhのリチウムイオンバッテリーを敷き詰めることが可能となり、室内空間を一切侵食しないで済んだのである。

開発担当のeDrive@VANs、ベンジャミン・ケーラー氏は言う。「プラグインハイブリッドにしなかったのは、それではVクラスのもっとも強く支持されているポイントであるユーティリティ性能に妥協を強いることになるからです。」

おかげで使い勝手はVクラスとまったく変わらない。今回のコンセプトカーでは8人乗りとされていたが、たとえば後部座席を独立した4座で構成してVIP送迎用にすることも、7人乗りにすることも、もちろん広大な荷室として使うことも自由自在だ。

走りの面でも同様で、パワフルな電気モーターにより最高出力は160km/hと十分以上。航続距離は400kmで、急速充電機能を使えば100km走行分の充電に、約15分しか要しない。前出のケーラー氏によれば「重心高が低くロールは小さいですし、即座にトルクが出るので走りは気持ち良いですよ。しかも静かで滑らかですから。」とのことである。

メルセデス・ベンツはこのコンセプトEQVの市販版を、9月に開催されるフランクフルトモーターショーで発表するとしている。大都市内での物流や、送迎などの商用にも、あるいはレジャー用途の個人用としても、注目を集めるのは間違いない。

 

島下泰久