ダイムラーが燃料電池関連子会社「Mercedes-Benz Fuel Cell GmbH」を発足
今年、初の市販燃料電池自動車(FCV)となるメルセデス・ベンツGLC F-CELLの発売を控えてはいるものの、ここ数年はサブブランド「EQ」の発足にも表れているようにBEV(バッテリー電気自動車)への傾倒が進んでいるようにも見えるダイムラー社。実際、ディーター・ツェッチェCEOはじめトップへのインタビューでも、ここのところは「燃料電池は将来的には可能性があるが、今は…」といった受け答えが多かったのだが、ここに来て興味深いニュースが飛び込んできた。
1月2日に発表されたのはダイムラーの100%出資子会社「Mercedes-Benz Fuel Cell GmbH」の発足である。従来、燃料電池システムや水素貯蔵技術の開発を行なってきたNuCellSys GmbHが、よりわかりやすい新たな看板に付け替えられたのだ。
トップを務めるのはクリスチャン・モアディーク氏。氏はダイムラー社にて燃料電池駆動システムの開発責任者も務める。
「ローカルCO2排出量がゼロで、航続距離が長く、充填時間も短い。しかも乗用車からバスなどの大型商用車まで幅広く適用でき、また据置式としても使用できる燃料電池の技術は、将来を見越した代替手段となります。今回の社名変更により、私たちは社会に明確なシグナルを送り、燃料電池技術の将来に密接に関わっていくことを明らかにします。もちろん、ダイムラー社との密接な連携の下で活動してきます。」
Mercedes-Benz Fuel Cell GmbHは、システムのコンセプト立てと開発、コンポーネンツとソフトウェアの開発、更にテストや検査なども含めた、燃料電池システム全般を行なう。今後は、グループ内の電動化モジュラーシステムに柔軟に組み込むことのできる燃料電池システムの開発を進めていくということである。
島下泰久