トヨタが燃料電池自動車の生産設備を拡充。2020年に年間3万台の販売を目指す
トヨタは2020年頃からの燃料電池自動車(FCV)の年間3万台以上の販売という目標を実現するため、販売国と地域を拡大。また、生産設備の拡充を行なうと発表した。
燃料電池自動車のMIRAIは現在、日本、アメリカ・ヨーロッパ9か国の計11か国で販売されている。更に、オーストラリア・カナダ・中国・UAE走行実証を行い、FCVの需要性把握や水素ステーション整備促進に向けた取り組みに協力。将来の販売国と地域の拡大に向けて、着々と環境整備を進めている。
トヨタは2020年以降をFCVの本格的な普及期と見据えて、グローバルで年間3万台以上の販売を目指すという。そのうち日本では少なくとも月1千台レベル、年間1万数千台程度の販売が目標。そのため販売地域を現在の4大都市圏中心から更に拡大していく。また2017年2月に2台、2018年3月に3台を東京都に販売したFCバスについても、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、100台以上の販売を目指していく。
2015年に年産約700台で始まった生産は、2016年は約2千台、2017年以降は約3千台と増えてきているが、年間3万台以上の販売を目指すには生産設備の拡充は急務だ。そのため、FCVの基幹ユニットである燃料電池スタック(FCスタック)については、愛知県豊田市の本社工場敷地内に新たな建屋を建設する。そして愛知県みよし市の下山工場には、高圧水素タンクの専用ラインを新設するという。
2017年2月から東京都への販売を始めたFCバスや、2016年秋に豊田自動織機が発売した燃料電池フォークリフトなど、燃料電池の活用範囲は確実に拡大している。それだけに生産設備の充実は急務。いずれも稼働は2020年頃からを目指す。
筆者も先日、関係者から「次のMIRAIはいいですよ!」と言われたばかりだが、MIRAIの次期型も、開発が進められているという。とは言え、2020年もいいけれど、そこに繋げていくためには今のMIRAIがこのままでいいとは思えない。年間3万台に向けて、今の時点でもしっかりマーケットという畑を耕し、種蒔きをして、興味、関心を喚起し続けてほしいところである。
島下泰久