LUNA SEAが全パート、燃料電池自動車による発電でさいたまスーパーアリーナ公演を開催!
ロックバンド「LUNA SEA」が昨年12月23日、24日、さいたまスーパーアリーナで恒例となりつつある年末ライヴ「LUNA SEA The Holy Night 2017」を開催した。実はこのライヴ、メンバー全員の演奏機材への電力供給を燃料電池自動車(FCV)によって行なう「The low carbon concert created by HYDROGEN ENERGY」として開催されたのだった。
昨年5月の武道館ライブで、ギタリストであるSUGIZO氏のギターと、グッズ販売用テントに使われる電気を、燃料電池自動車(FCV)から給電して話題を呼んだLUNA SEA。SUGIZO氏は「送電線を通ってきた電気で奏でるより純度が高く、美しいサウンド」が奏でられたと語っていたが、一方で通常の電源を用いた他のパートとの差が気になったとも話していた。
そこで今回、全パートの楽器への電力供給が、FCVによって行なわれることになった。さいたまスーパーアリーナのステージ裏手のスペースには、ホンダ クラリティ フューエルセルとトヨタMIRAIを、予備の2台を含む計5台用意。いずれも、ホンダのスマート水素ステーションにて太陽光発電された電気によって作られたCO2フリーの
水素が充填されていたのも、SUGIZO氏のこだわりである。各車両にはホンダの外部給電装置である「Power Exporter 9000」が接続され、これを介して各パートの機材に電力が供給された。
ちなみに今回はSUGIZO(ギター)氏の機材がクラリティ フューエルセル、INORAN(ギター)氏の機材がトヨタMIRAI、そしてJ(ベース)氏、真矢(ドラム)氏の機材が、もう1台のクラリティ フューエルセルから電気を供給されていた模様だ。
実際、初日の23日に「STORM」から始まったライヴのサウンドは、パワフルなだけでなく非常にクリア。SUGIZO氏が「間違いもすぐにバレてしまう」と言っていたが、確かに各パートの音がそれぞれにしっかり立っていて、迫力の一方でとても聞きやすいという印象だった。
もちろん、それは簡単に実現できたわけではなく、例えばステージの上手と下手では電源ケーブルの長さが変わるため、微妙に電圧が変わってしまうといった、普通では問題にならないような問題も出たという。当たり前だが、プロミュージシャンの音へのこだわりは、尋常ではないようだ。
SUGIZO氏はステージ上で「今回も水素燃料電池の恩恵を受けて音を出させてもらっています」と発言。満員のオーディエンスは大いに盛り上がっていた。きっと、こんなところからも燃料電池のこと、じわり浸透していくに違いない。LUNA SEAとFCVの次の展開にも期待したいところである。
島下泰久