通信でクルマが進化する…テスラのソフトウェアアップデート Part.1
テスラモーターズの送り出すクルマ達の様々な魅力の中でも、個人的にもっとも唸らされているのが、インターネットを使ったソフトウェアアップデートの機能だ。工場に持っていったり新しいハードウェアを付け足したりすることなく、購入したクルマに新しい機能を追加したり、使い勝手を改善したりすることができる。ケータイやPCでは当たり前でも、クルマではこれまで当たり前ではなかったこの機能は、今もまだテスラ車だけのもの。最大の特徴になっていると言っていい。
これまでの経緯を簡単に振り返ってみよう。下に箇条書きで示したのは、モデルSが発売を開始した2012年から今までに行なわれたアップデート。実にこれほどの回数、内容に及ぶのだ。
■2012年10月
「クリープ」機能の追加
ドライバー プロフィール名の変更
■2012年11月
自動収納式ドアハンドル (ワイヤレス アップデート機能の有用性を実証)
アラーム
音声コマンド
■2013年3月
予約充電 (電気料金の安い時間に充電することで電気代を節約)
■2013年6月
地図上でスーパーチャージャー (および過去に使用したことのある充電設備) を認識し、ルート案内
■2013年8月
Wi-fiとテザリング
ヘディングアップマップ
■2013年10月
使用していない時の消費電力を抑える節電モード
タッチスクリーンにオーナーズマニュアルの追加
■2013年11月
エアサスペンションを高く調整
■2014年3月
エアサスペンションを低に設定可能に
ヨーロッパ向けパーソナライズド インターネット ミュージック
ヒルスタート アシスト
ナビゲーション: ご自宅/職場の情報とお気に入りの登録
■2014年9月「ソフトウェア6.0」
カレンダー アプリ
パワーマネジメント オプションの追加
ロケーションベース スマート エアサスペンション
(車高を高くして通過した場所を記憶して、次回から自動で車高調整)
車名の変更
カレンダーアプリ
■2015年1月「ソフトウェア6.1」
トラフィックアウェア クルーズコントロール
正面衝突警報
オートマチックハイビーム
バックカメラ ガイドライン
カレンダーの改善: ミーティングノート、電話番号
■2015年3月「ソフトウェア6.2」
トリッププランナー
(ナビゲーションが必要な際にスーパーチャージャー経由ルートを自動探索)
レンジアシュアランス
(航続距離が充電スタンド圏外になりそうな時に警告、近くの充電場所を案内)
自動緊急ブレーキ
ブラインドスポットワーニング
バレーモード
■2015年10月「ソフトウェア7.0」
自動運転機能
(オートステアリング、自動車線変更、オートパーキング、側面衝突回避)
■2016年1月「ソフトウェア7.1」
自動運転機能の改善
オートパーキング (直角駐車)
サモン
そして、いよいよ昨年10月より配信が始まったのが「ソフトウェア アップデート8.0」である。これはモデルSがデビューした2012年以来、最大規模の変更を行なうものだ。
改良点は、まずテスラ タッチスクリーンのユーザーインターフェイス。メディアプレイヤー、音声コマンド、地図とナビゲーションが刷新される。またキャビン オーバーヒート プロテクションの搭載、自動運転機能の改善も実施された。
Part.2では、アップデート前の車両と比較して行なった試乗テストの結果を報告する。少しだけ結論に触れるならば「こんなに違うの?!」と、驚くほどの進化を果たしていたのである。
島下泰久