アラブで水素社会?! トヨタがUAEでMIRAIの実証実験を開始
石油産油国と“究極のエコカー”は、もっとも縁遠いものにも見える。しかし実はUAE(アラブ首長国連邦)政府は目下、大気汚染の改善、クリーンエネルギーの利用拡大、インフラクオリティ世界一などを目指す“UAE Vision 2021”を推進中。国家プロジェクトとして、ゼロ・エミッションを目指す環境未来都市「マスダールシティ」の建設も進められている。原油価格の上昇に期待するにも限りがあるし、そもそも原油がいつまでも生産し続けられるとも限らない。UAEとしては、石油依存からの脱却を進めなければいけないという事情があるのだ。
そんなUAEでトヨタは、低炭素社会の実現に向けた水素利用の可能性を探るとして、現地での共同研究に参画する。その一環として5月より、MIRAIを使用した走行、充填などの実証実験を行なうと発表した。
実はUAE、水素インフラ構築に向けてのポテンシャルは高い。石油精製の過程では副成水素が大量に出てくるし、苛性ソーダ工場でもやはり副産物として水素が生成される。太陽光の活用による水素製造の潜在力も高いというわけで、プレスリリースによれば「水素社会づくりを推進する事により、UAEが次世代クリーンエネルギーのリーダーとなる可能性がある」と、トヨタ自動車の内山田竹志代表取締役会長も語っている。
2050年までに低炭素エネルギー比率50%を目標とするUAEと、2015年に発表したトヨタ環境チャレンジ2050にて、新車からのCO2排出量を2010年比90%減とする目標を掲げたトヨタ。案外、燃料電池車推進のベストパートナーのひとつとなるのかもしれない。
島下泰久