トヨタが2017年より燃料電池バスを発売へ
2015年より日野とともに燃料電池バス(以下“FCバス”)の実証走行実験を重ねてきたトヨタが、2017年初めよりトヨタブランドにてFCバスを販売する。台数は2台。東京都交通局が運行する路線バス、要するに都バスとして使用される。
実証走行実験の経験を踏まえて開発されたこのFCバス。トヨタブランドからの発売とはなるが、実際の車両は2015年の東京モーターショーで日野が発表したFUEL CELL BUSそのものと言っていいだろう。77人乗りの車体にMIRAI用のトヨタフューエルセルシステムを2基搭載。電気モーターの最高出力は154ps×2、最大トルクは335Nm×2。この出力はテスト車両と同等だ。
一方でテスト車両では8本、480リットル分だった70MPaの高圧水素タンクは10本、600ℓ分に増やされている。また最高出力9kW、供給電力量235kWhという大容量の外部電源供給システムも搭載される。
それにしても、販売台数2台とはいかにも少ない台数だが、その目的はプレスリリースには「トヨタは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のFCバスの導入を予定している。これに向けて、公共交通としてのFCバスの活用について一般社会からの理解を高めていくために」と記されている。今後も着実に導入台数を増やしていくとのことだが、取り敢えずこのモデルについては台数を売るのではなく、利用者にFCバスの存在を知ってもらい、また美点を体感してもらうことが念頭にあると言って良さそうだ。
そして2018年には、新型FCバスの導入が今から予定されている。もちろん、東京オリンピック・パラリンピックでの活用が、その狙いである。
「水素社会」の実現は、この国のエネルギー事情を考えれば、非常に重要だ。FCバスに乗れば、それが快適な移動という大きなメリットももたらすことが、きっと実感できるはず。路線を探してでも乗りたいバスの登場だ。
尚、FCバスの美点、スムーズな走りっぷりについてはリンクの過去記事を参照していただきたい。
『東京都でトヨタ&日野の燃料電池バスが実証実験』
島下泰久