デザインと使い勝手は? 新型プリウスPHV先行試乗 Part.4
Part.1はこちら
Part.2はこちら
Part.3はこちら
プリウスPHV、もしかすると外観はプリウスより多くの人に受け入れられるかもしれない。トヨタ初のアダプティブハイビームシステムを採用したLEDヘッドライトを装備するフロントは、MIRAIとの親和性をイメージさせるようデザインされたもの。さすがに見慣れてきたとは言え、やはり奇抜と言いたいプリウスよりも、よほど落ち着いて見える。
オーバーハングが伸ばされたリアにはダブルバブルタイプのリアウインドウ、横長のテールランプが使われ、やはりプリウスとはまったく違った表情を見せる。気にして確認したつもりだが、とりあえず後方視界が歪んだりするようなことはなかったということ、記しておく。
全長は4645mmと、プリウスに較べると105mmも大きくなっている。サイズアップには、プリウスより上級をいうポジショニングを明確にする意味もあるだろうし、リアの荷室フロア下に駆動用リチウムイオンバッテリーを積むためでもある。尚、テールゲートはレクサスLFAでノウハウを培ったCFRP製とされ、軽量化に繋げている。実はコレ、高い剛性のおかげでサイドフレームの省略も可能にしていて、後方視界を拡大させるリアウインドウの拡幅をも可能としている。
インテリアの主役は、やはり11.2インチの縦型大画面液晶だろう。これは単に画面サイズが大きいというだけでなく、スマホ感覚で操作できるまったく新しいインフォテイメントシステムを採用している。とは言え、これまでのシステムとまったく違った操作系とするのではなく、違和感無く移行できるようメニュー構成などが工夫されている辺りは、さすがトヨタ。色々試してみたが、きっと使い方で困惑する人、居ないと思う。
このシステム、もちろんプリウスPHVだけのためではなく、今後のトヨタ車にもじわじわと展開されることになるという。トヨタ車のインテリア、大改革の予感だ。
後席は2名掛けとされ、乗車定員は4名。余裕あるスペースによる快適性の向上が狙いとしてあげられているが、実際のところはリアに重量120kgものリチウムイオンバッテリーを積むことから、許容荷重との勘案で5名乗車にはできなかったに違いない。MIRAIの場合も、話は一緒である。ラゲッジスペースも、このバッテリーを搭載する関係でフロアがかさ上げされている。この辺りの実用性のネガが、ユーザーにどれだけ受け入れられるかは、興味深いところである。
しかしながら、先代と違って独自のキャラクターがハッキリと打ち出されたデザインや、先進感のあるインテリアが、プリウスPHVの存在感をこれまでにないほど確固たるものにするのは間違いない。極端に言えば「PHVじゃなくても欲しい」と思わせるクルマになっていると言ってもいいのではないだろうか? プリウスじゃ数が多過ぎて……という人、もっと高くてもいいから、特別なクルマが欲しいという人。彼らにササる1台に、新型プリウスPHVは仕上がっている。
冷静そうに書いているが、何よりこのクルマ、私自身がかなり所有欲を掻き立てられている。だって……MIRAI以上に未来感たっぷり。しかも、フットワークも爽快なのだから………。
島下泰久