ニッサン ブレードグライダー、市販に近づく?
いよいよ開幕したリオデジャネイロオリンピックの開会式前夜、日産が現地で2台のプロトタイプモデルを発表した。そのうちの1台がEVスポーツカー「ブレードグライダー」だ。
実はコレは、2013年の東京モーターショーで発表されたブレードグライダーの進化版。空力特性を重視した極端に狭いフロントトレッド、中央に1席のフロントシートと、その左右後方に据え付けられた2席のリアシート、後輪左右のインホイール電気モーターといった特徴は、この新しいプロトタイプにも引き継がれている。
左右それぞれ130kWを発生する電気モーターは、提携関係を結んでいるウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社製。そう、ウィリアムズF1チームの関連会社である。最高出力は200kW、最大トルクは707Nmにとなる。車重は1300kg。0-100km/h加速は5秒を切り、トップスピードは190km/hに達するという。当然、トルクベクタリング制御も可能。こちらを積極的にハンドリングの味付けに使う「agile」、「drift」の各モードも用意される。
戦闘機のようなウインドスクリーンを採用したコクピットは、ディスプレイ内蔵の専用ステアリングコントローラーを持ち、その左右のディスプレイにはカメラで捉えた斜め後方の映像が表示される。つまりドアミラーは備わらない。
フロントトレッドを極端に狭くしたニッサンのマシンと言えば、2012年のル・マン24時間レースに“ガレージ56”枠で出場したニッサン・デルタウイング、同じ開発者が生み出した(エンジンとの切り替えでの)電気モーターによるゼロ・エミッション走行も可能な2014年のZEOD RC(ジオッド・アールシー)が思い浮かぶ。さすがに両車ともドライブしたことはないが、それほどの素晴らしいコンセプトなら市販車に活かされてもいいはずであり、ぜひ登場を期待したい。
このブレードグライダー プロトタイプは2台が用意されており、1台は展示、もう1台は試乗に使用されるという。オリンピック後、テストできるチャンスが訪れることを願うばかりだ。
島下泰久