航続距離300kmを実現したアップデート版BMW i3に乗った Part.1

BMW i3 (94 AH) 01
BMWが8月初頭に地元ミュンヘンで開催したワークショップ「BMW Group Innovation Days 2016」では、BMWの内燃エンジン車、プラグインハイブリッド車、EVのそれぞれ最新鋭モデルに触れることができた。そのうちEVと言えば、もちろんBMW i3である。
i3のラインナップにこのたび加わったアップデート版は、実は外観も内装も、まったく変更は無い。変わったのはバッテリーだけ。セル容量が従来の60Ahから94Ahに高められ、全電力量は22kWhから33kWhと、実に1.5倍に。これによって航続距離(NEDCサイクル)が、従来の190kmから300kmへと一気に伸張したのだ。
BMW i3 (94 AH) 02
驚くべきはこの33kWh版i3、室内空間は従来とまったく変わっていない。バッテリー容量アップは、セル内部構造の変更によって実現されており、外形寸法は変更されていないのである。但し、車両重量は1245kgと、同じ本国仕様同士で見て50kg増加している。0-100km/h加速タイムは、それに伴い7.2秒から7.3秒へとほんのわずかにドロップした。
とは言え、実際に走らせてみて、そうした動力性能の差を実感することは、まず無いだろう。走りの印象はこれまで通り、床下にバッテリーを敷き詰めたアルミシャシーと軽量なCFRP製ボディ、そして後輪駆動レイアウトが実現した軽快さが光る仕上がりとなっている。つまり失ったものは無いと言い切ってしまってもいい。
BMW i3  03一方、バッテリー容量を1.5倍の33kWhとしたi3の得たものは大きい。BMWによれば、NEDCサイクル、いわゆるモード燃費での航続距離300kmは、エアコンやヒーターなどを使用する日常使用時でも、1回の充電で200kmの走行を可能にするという。そして実際、100%充電の状態で受け取った試乗車のエネルギーモニターには、残り走行距離205kmという表示が出ていたのである。
Part.2へ続く
島下泰久