「で、MIRAIと較べてどうなの?」 ホンダ クラリティ フューエルセル Part.2
やっと登場したホンダ クラリティ フューエルセル、やはり気になるのは先行したトヨタMIRAIと較べて出来栄えはどうなのか、ということじゃないかと思う。ここでは、長期レポート車を普段使いしている視点から、改めてクラリティ フューエルセルをチェックしてみたい。
まずスタイリングは……どちらも、なかなか大変だねというところだ。燃料電池スタックをシート下に置くMIRAIは、おかげで着座位置、そして全高が高い。しかももともとの車体はTNGA前夜、つまり古くから使われてきたカムリやSAIなどと共通のものだけに、プロポーションの自由度が低く、結果として良くも悪くもかなり特異な姿となっている。
良くも悪くもと書いたが、これが不思議なもので見ているうちに、そこまで悪くないような気になってきているのは事実。もう少し車高を下げるだけで、見違えると思うのだ、MIRAIは。
一方のクラリティ フューエルセルは、あるいはもっと異物感があるデザインかもしれない。ボンネット下に燃料電池の主要部品の多くを収めるパッケージング故に、フロントまわりが重たげで、それとバランスを取るためかリアも、ルーフラインがハッチバック車のように伸びている。このフォルムに、LEDを多用した派手なマスク、空力のため覆われたリアホイールアーチなどが相まって、非常に個性的、好き嫌いの分かれる、とにかく目立つ姿が描き出されているのである。
内装デザインも、やはり両車凝っている。一見、斬新なのはMIRAI。しかしクラリティ フューエルセルの方がヘッドアップディスプレイを備えるなど機能的には新鮮味がある。
室内の広さはクラリティ フューエルセルの圧勝。MIRAIもまったく狭くなどはないが、後席が3人掛けで横方向に余裕があり、しかも足元、頭上ともにゆったり寛げるのは大きい。アメリカのユーザーが、いざという時に5名乗れることを欲したというが、もちろん官公庁ユースも強く意識しているに違いない。当面、リース販売のみということもあり、もしかするとMIRAI以上に。
そしてラゲッジスペース。9.5型ゴルフバッグ3つを飲み込むと謳うスペースは確かに十分なのだが、いかんせん見ての通り床はフラットではなく、たとえば筆者が使っているリモワの大型スーツケースなどは入れることができない。これは結構、由々しき問題だと思うのだが、やはり想定ユーザー層が違うということだろうか…。
そして肝心の走りについては、続くPart.3にて。
島下泰久