ダイムラーのD.ツェッチェCEO『将来はEVを選ぶ人が大半を占めるでしょう』
3月1日がプレスデーが開幕したジュネーヴ国際モーターショー会場でのインタビューにて、ダイムラー社 取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括のディーター・ツェッチェ博士は「最終的に、乗用車のユーザーはEVを選ぶ人が大半を占めることになる」との見通しを示した。
この日、ダイムラーは、5億ユーロ(約620億円)を投じてドイツに、新しいバッテリー工場を建設することを発表。ここで製造されたリチウムイオンバッテリーは、メルセデス・ベンツとスマートのハイブリッド車(HEV)、EVに使用される。実際、この日がヨーロッパプレミアだった新型Eクラスにも、プラグインハイブリッド(PHEV)のE350eが設定されるなど、そのラインナップは続々拡大中だ。
一方で、いくらメーカーが音頭をとっても、ユーザーがそれを積極的に選ぶようにならなければ、PHEV/HEV/EVの本格普及への道は遠い。まだまだヨーロッパでは、EVはおろかPHEV/HEVだって、新車販売に占めるシェアはほんの数%に留まっている。
では、一般ユーザーが自発的に、積極的に、EVやPHEV/HEVを選ぶようになるには、一体どうしていくべきだと考えているのか。ツェッチェ博士の言葉は、その問いに対する回答である。
「答はシンプルです。航続距離、充電時間、インフラ、そして価格。これらが競争力あるレベルになれば、静かで滑らか、排ガスも出ないといったメリットがクローズアップされ、普及は進むでしょう。現在の原油安は、その意味ではネガティブな要因ですし、まだ時間は必要ですが、クルマが改善され、周辺環境も整備されてくれば、最終的にはエンジンで動くクルマよりもEVを好むという人が、大半を占めることになると思います。」
但し、すぐにフルEV化に進むという拙速な話ではない、ということは付け加えておきたい。ツェッチェ博士は、こうも述べている。
「もちろん、自由な市場、選択の自由という要素も、とても大事です。自動車会社は人々に、それぞれが望むかたちのモビリティを提供していきたい。ですからEVが唯一の答というわけではありません。燃料電池に於ける水素もそうですが、CO2の発生を抑えた発電が行なわれる必要があります。ですが、それは国や行政の責任で、自動車メーカーは、とにかくCO2排出量の少ないクルマを作るだけだと考えています。」