どこまで走れる? MIRAI 長距離テスト Part.4

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 熱田水素ステーションにて無事に水素の充填が完了したら、早速帰路につく。本当は神戸辺りまで足を延ばしたかったのだが、この日の午後、トヨタ/日産/ホンダの3社が急遽、都内で合同記者会見を開くとの連絡があり、急ぎ帰らなければならなくなったのだ。会見開始は15時。この時にはすでに10時を過ぎている。行きのペースを考えれば、余裕はまったく無い。

 案の定、セットしたナビゲーションは都内の現地到着は14時58分とギリギリの時間を告げている。市内を抜けて名古屋高速に入り、伊勢湾岸道を経由して東名高速へ。交通の流れが良く、また気が急いているせいもあり、行きよりは15%ほど速いペースで走っていく。

 前半、新東名に入ってしばらくぐらいまではそんな調子だったのだが、その後は少々ペースダウンせざるを得なくなった。ナビゲーションが示す現地までの走行距離と、MIRAIの残り航続可能距離の数字が、かなり近づいてきてしまったからだ。もしも辿り着けなくなってしまうと当然、とてもとても困るし、途中で水素を充填していたら記者会見に間に合わないのは明らか。何とか辿り着ける、ギリギリのペースを保っていくしかない。

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 結果から言えば、渋滞も無かったのでギリギリで間に合い、水素も何とか保ってくれたので、15:00ちょうどには会見場に入ることができた。会見が行なわれたのが港区芝大門だったので、終わった後には再び、すぐ近くのイワタニ水素ステーション芝公園へ。今回は3.53kgを充填した。こちらは水素1kg当たり1100円なので、支払いは税込み4193円。走行1km当たりの燃料コストは12.08円まで跳ね上がった。とは言え、それでもトヨタで言えば、86とそれほど変わらない。「エコカー」と考えればもう少し……と思うけれど、普通に考えれば、まあこんなものかな、というところだろうか。

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 効率の良い速度域を外したところでの燃費の落ち幅が急なのは、EVと同じような感覚と言える。MIRAIの場合、主市場は日本、アメリカだから、100km/h以上の速度域での効率性には、それほど重きは置かれていないのだろう。

 厄介なのはMIRAIの場合、速度が上がってもエンジン音が大きくなるわけではないなど、速度感がやや掴みにくいこと。EVでもそうだが、100km/hなら100km/hをぴたっとキープするには、エンジン音は頼りにならず、回転計も無いから、速度計を常によく見ていなければならないのだ。走行ペースは道のアップダウンや周囲の交通事情にも左右されるから、100km/hキープのつもりでいたのに、気付くと120km/h出ていたなんてこと、実はしょっちゅうあった。

 そこで頼りになったのが、標準装備のクルーズコントロール。性能的には、低速域での追従はしないし、設定上限速度は115km/hだしで、ほとんど使えないなと実は最初は思っていたのだが、燃費を考えると、良い速度リミッターになってくれたという次第。実際、制限速度100km/hの区間は、ずっと99km/hに設定して走った。飛ばして途中で水素を充填するより、この方が速く、ずっと経済的だったのである。

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 振り返ってみると、行きも帰りも強行軍、特に帰りなど熱田からノンストップで東京まで戻ってきたわりに、身体の疲れがとても少なかったということに気付く。エンジンの騒音や振動が、これほど疲労に繋がっていたのかと、改めて実感。高いボディ剛性がもたらす安心感のあるハンドリング、上質な乗り心地も相まって、MIRAIの高速クルーザーとしての資質にはまさに太鼓判を押すことができる。強いて言えば、雨の夜のことを考えて、タイヤだけは交換してみてもいいかも、というところだ。

 そんな高速巡航性能を実現しているだけに、航続距離の問題やインフラの問題で、まだまだ長距離を行くには色々と不便がつきまとうのが何とも惜しいと、改めて思ってしまった。気の向くまま、もっともっと思い切り遠くまで行きたい! もちろん、それはMIRAIの走りが、そんな気持ちにさせる上々の仕上がりだったからこその思いである。

写真:サステナ編集部