BMWが燃料電池にいよいよ本腰

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2013年に、燃料電池をはじめとする広範な領域でのトヨタ自動車との提携を発表したBMWが、いよいよその技術を用いた燃料電池自動車のプロトタイプをお披露目した。先日開催された、BMWが近い将来に実用化する予定の新技術を公開する「BMWグループ イノヴェーション デイズ 2015」にてi8、そして5シリーズGTをベースとした車両でのデモンストレーションを行なったのだ。

燃料電池スタックやケース、それらに付随するシステムはトヨタから供給されたもの。一方、最高出力245hpと強力な電気モーター、パワーエレクトロニクス、短期的なエネルギー貯蔵を行なう高電圧バッテリーはBMW自身が開発した。70MPaの高圧水素タンクは前後アクスル間に搭載される。この高圧水素タンクは、業界標準と言うべき70MPaタイプだけでなく、BMWが開発を進めているCCH2(Cyro-compressed Hydrogen storage technology)と呼ばれる低温圧縮技術を用いた35MPaタンクの搭載も想定されている。

BMWはかつて水素を燃料として燃やして使う水素自動車“Hydrogen7”にて、-253℃の低温で液化することで体積を大幅に減少させた液体水素を、水素貯蔵のためのソリューションとして活用していた。このCCH2には、そのノウハウが活かされているのだろう。

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燃料電池自動車は将来的に、まずBMW iの1モデルとして登場し、その後にBMWにも使われていくことになるとされる。燃料電池は同等のエネルギーを貯蔵するのにバッテリーよりも重量、スペースが小さく済み、500km以上の長い航続距離を容易に実現できる。また充填時間がガソリン/ディーゼルと変わらないのもメリット。特に前述のCCH2が実用化できれば、大きな省スペース化が期待できるとBMWは言う。

では、これら燃料電池自動車を走らせるインフラの整備は?
もちろん、彼らに抜かりはない。
すでに南ドイツからイタリアはガルーダ湖まで、燃料電池自動車で旅行することが可能になっているのだ。

先日、ドイツ ミュンヘンの、BMWミュージアムからそう遠くないデトモルトシュトラーセに商業用水素ステーションが開設された。これにより欧州の「HyFIVEプロジェクト」を構成するシュトゥットガルト、ミュンヘン、インスブルック、ボルサーノの南クラスターが完成。燃料電池自動車での行動可能範囲が大いに拡大することとなったのである。

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TOTAL Germanyが運営するこの水素ステーションは、現在の業界標準である70MPaの高圧水素だけでなく、BMWが開発を進めているCCH2、低温圧縮水素の充填にも対応している。これはまだテストの段階ではあるが、実用化されれば70MPaの1.5倍の貯蔵容量を実現できるという。言い換えれば、水素タンクの大幅な小型化が可能になるのだ。

インフラさえ整えばいつでも販売可能と言うメルセデス・ベンツ、VW/アウディに対してBMWは、まだ車両こそ開発段階ではあるが、インフラ整備にはもっとも積極的な姿勢を見せていると言っていい。HV/PHVと同じように、機が熟した時にはドイツ勢、燃料電池に関しても一気の攻勢をかけてきそうである。

写真:BMW