世界初の水素自動車MIRAIに乗る Vol.3

DSC_3330_s

試乗プログラムの中には水素ステーションでの充填も含まれていた。我々が訪れたのは東京都港区の芝公園にオープンしたばかりの「イワタニ水素ステーション芝公園」。MIRAIのショールームも併設された、言わばアンテナショップだ。

DSC_3529

さすがに横浜から走ってきただけだった今回、充填量は微々たるものであっという間に終わってしまったが、MIRAIはフル充填までの所要時間は、たった3分。しかも、それで650kmの距離を走ることができる。この辺りが充電に時間のかかるEVに対する大きなアドバンテージと言える。

DSC_3553

ちなみに水素の価格は税抜き1000円〜1100円/1kg。現行の水素ステーションではフル充填すると約4.3kgが入るから、水素代は4300〜4730円となる。650kmで割れば、6.6〜7.3円/kmだ。ガソリン価格はレギュラーで130円/ℓと考え、クラウンハイブリッドの23.2km/ℓという燃費を当てはめると5.6円/km。差は決して大きくない。

一方で、水素ステーション自体の数の少なさという大きな問題を抱えているのも事実。この記事を執筆している4月時点で稼働しているのは全国19箇所。2015年中に100箇所という政府目標の達成は難しいだろう。

DSC_3562

しかも問題は数だけではない。たとえば今回訪れた「イワタニ水素ステーション芝公園」は土日休みで、平日も9時〜17時しか開いていないのだ。充填は専任のスタッフが行なわなければならず、また今は官公庁の需要が大半だから仕方が無いが、一般ユーザーが増えてきた段階では営業時間、議論となりそうである。

この燃料インフラの問題をはじめ、燃料電池自動車にはまだたくさんの課題があるのは事実だ。しかし、誰かが一歩を踏み出さなければ、これらは永遠に解決しない。クルマが走っていなければ、インフラが増えるわけがないのだから。その意味でMIRAIの登場は間違いなく、燃料電池自動車の普及に向けて、あるいは水素社会に向けて、大きな一歩を踏み出すことになる。

DSC_3637

「MIRAI」という車名、最初聞いた時にはちょっと気恥ずかしいというか、そんな気持ちにさせられたものだが、トヨタはこれを世界中で展開する。日本以外の国々では、もちろんその意味が浸透しているわけではない単語だが、あるいは数年経った頃には、自動車の、あるいは我々の社会の未来を明るく照らすものという意味が、ここには込められるようになるかもしれない。まさに歴史のトビラが開いたのである。

写真:サステナ編集部