テスラ本社ファクトリー訪問 Part.1 〜最先端のロボットの仕事を見学する〜

サンノゼ空港でUberにアクセス。ダニエルさんのニッサン アルティマの後席に乗り込んで30分ほど走ると、フリーウェイの右側に巨大な白い建物が見えてきた。掲げられた赤字のロゴには「TESLA」の文字。そう、ここがアメリカはカリフォルニア州フリーモントにあるテスラ本社工場である。

よく知られている通り、元々はGMの工場であり、のちにトヨタとの合弁会社であるNUMMIが使用していたこの施設は、トヨタとGMの合弁が終了し、トヨタが撤退を決めた後にテスラに譲られ、大規模な改装を得て今の姿になった。この日は、まさにこの工場の見学というまたとない機会を得て、フリーモントまでやってきたのだった。

敷地面積は、実に150ヘクタール。ここに50万平方メートルという広大な工場、オフィスがある。工場内は、壁も床も白く塗られ、自然光も入り込んだ、とてもクリーンな空間だというのが第一印象である。NUMMI時代には暗く沈んだ雰囲気で、これが従業員の不満に繋がっていたと、担当者が説明してくれた。ステーションビーチと呼ばれる、緑豊富な休憩場所が用意されていたり、屋外には小さな庭があったりと、労働環境に配慮されていることが解る。ちなみに従業員数は、ソーラーパネル製造の関連会社であるソーラーシティを合わせて約3万人だという。

ここフリーモント工場で行なわれているのは部品プレス、ボディ組み立て、最終組み付けの3工程である。まず見学したのは、ボディ・シャシー用のアルミスタンピング工場だ。

ご存知の通りテスラ車の車体は基本的にアルミで作られている。98%アルミ製のモデルSのシャシー重量は、おかげでわずか185kgでしかない。ちなみにモデル3は、価格を抑えるため一部アルミ製となっているという。地上4階、地下3階建ての高さの巨大な機械で、4500トンもの圧力でひらすらにアルミ板をプレスしていく様は圧巻だ。

「アルミはテクスチャーとペイントが重要」ということで、プレスされたパーツはすべてがレーザーで計測される。クオリティチェックは入念だ。1週間分のパーツがまとまると、次の工程に送り出される。

工程はモデルごとに進化している。モデルXで新たに使われたのは「ハイスピードブローフォーミング」。アルミ板を予め熱しておいた上で型にはめ込み、400psi(約2.76MPa)の高圧のエアで成形するというものだ。説明によれば「モデルXのリアゲートはこの新製法がなければできなかったでしょう」ということだった。

こうして出来上がったアルミパーツの接合で、多くを占めるのが接着だ。接着剤を塗るのはロボットの役目。塗布の精度は高く、実に髪の毛2本分のズレしか許容しない。組み上がったボディ自体の精度も、レーザースキャナーによって厳密にスキャン、管理されている。チェックは全量に及ぶという。他にも、たとえばモデルXのボディは一部にレーザー溶接を使っている。

テスラの工場は、最新の自動車工場の中でもとりわけロボット化率が高いと言っていいだろう。先ごろ中国企業に買収されたドイツのクーカ、そして日本のファナックがその主流。特にファナックのロボットは、ここに来てますまず数が増えてきているという。その素早い動き、精確な動作の繰り返しは見ていて惚れ惚れしてしまう。愛着を覚えているのは工場で働く人たちも同じのようで、それぞれマーベリック、ザビエル、エンジェル等々といった名前がつけられていたのが微笑ましかった。

モデルXのファルコンウィングドアは、別工程で組み立てられたものがアッセンブリーとして運ばれてきて、取り付けられる。これを吊り下げて運んでくるのも、もちろんロボットの役目である。

Part.2へ続く

島下泰久