どれだけ走る? アウディg-tron

アウディA4アバント、そしてA5スポーツバックに新たに設定されたg-tronは、ガソリンとCNGの両方を使用できる最高出力170psの2.0ℓTFSI=直噴ターボエンジンを搭載する。CNGは、それだけでガソリンよりもCO2排出量を25%減らせるのが最大のメリット。その分、パワーも落ちるのだが、そこはターボ過給により補うというのが、このエンジンの考え方だ。

しかも、燃料として前回お伝えした、再生可能エネルギーによって発電した電気で水を電気分解して取り出した水素を、今度はCO2と反応させて合成メタン=CH4としたアウディe-gasを使えば、実質的にカーボンニュートラルを達成できるのである。

もちろん、水素をそのまま燃料電池自動車(FCV)に充填できれば早いが、車両はまだ少なくインフラの整備も進んでいない。CNGならドイツ国内、そしてヨーロッパに於いて供給網は充実している。実際の流れとしては、ユーザーがこのe-gasを充填したら、その分のe-gasがCNG供給網に供給されるかたちになっている。自然エネルギー発電を行なう電力会社を選ぶのと、同じロジックだと言えば解りやすいだろう。

動力性能にも不満はない。0-100km/h加速は8.4秒、最高速はA4アバントで223km/h、A5スポーツバックで226km/hに達する。しかも航続距離は最大19kgを搭載するCNGだけで500km、そして同時に搭載する最大25ℓのガソリンを加えて、計950kmに達するから、実用性も十分以上だ。車両はよく見ると荷室フロアが35mmだけ高くなっているが、違いはそのぐらいである。

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ちなみにドイツではCNGの供給価格は、距離換算すると100km走行辺り4ユーロ以下。これはディーゼルより安い。そして車両価格は、A4アバントで4万300ユーロと、ディーゼルよりざっと2000ユーロ高い程度となる。尚、アウディでは2018年5月末までに車両を購入したユーザーへの、3年間に渡るe-gas供給というパッケージを設定している。

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再生可能エネルギー由来の電気をプールしておく手段として、水素はきわめて大きなポテンシャルを持つ。そのメリットを多くの人に使いやすいかたちで提供しようというe-gas。CNGが普及していない日本での展開は難しいだろうが、その手があったかという画期的なシステムであることは間違いない。筆者がもしドイツにも事務所を構えるなら、間違いなくA5スポーツバックg-tronをガレージに迎えるだろう。

島下泰久