PHVとしての完成度は? ボルボXC90 T8 Twin Engine AWD試乗 Part.1

 昨年1月に発表されるや話題となり、2016年の国内導入予定分がすぐに完売となってしまったのが「ボルボXC90 T8 Twin Engine AWD INSCRIPTION」だ。このボルボが日本に初めて導入するプラグインハイブリッド車(PHV)は、車両価格1009万円とボルボ車ではもっとも高額。しかしながら、その内容を知れば、むしろリーズナブルとすら映る。ここではデビュー後、何度かの試す機会で改めて気付いたことも含めて、その印象をお知らせする。
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 XC90のプラグインハイブリッドシステムは、前輪を直列4気筒2ℓターボ+スーパーチャージャーの内燃エンジン、後輪を電気モーターにて駆動する。これはボルボとしては、日本未発売のV60 D6プラグインハイブリッドなどで実績のある方法だ。システム最高出力は内燃エンジン320ps+電気モーター87psの407ps、最大トルクは同400Nm+240Nmの640Nmとなる。実は前輪側にも電気モーターは組み込まれているが、これはエネルギー回生用である。
 駆動用リチウムイオンバッテリーは9.2kWhの総電力量を有する。センタートンネル内に収めることで、室内スペース、荷室などを侵食せず、また重心低く、前後重量配分も良好な値をキープできるのが特徴だ。電気モーターだけで走行可能な距離は、最長35.4kmとなっている。

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 このモデルだけに与えられたスウェーデン“Orrefors”社製のクリスタルのシフトノブをDレンジに入れてアクセルペダルを踏み込むと、XC90 T8はまずは電気モーターだけで、スルスルと音もなく発進する。高い負荷がかからなければ、そのまま可能な限りEV走行が続く。
 メーターナセル内のパワーメーターには、その状況に応じて常に、これ以上踏むとエンジンが始動するというポイントがグラフ表示されている。そこを保ち続けていれば、100km/h前後での高速走行中でもエンジンはかからず、滑走するような滑らかさを味わえる。このプラグインハイブリッドならではの走行感覚は、やはり大きな魅力と言っていい。

 アクセル開度が大きくなるとエンジンへのバトンタッチが行なわれるが、それでも一気に騒音が高まるようなことはない。強いて言えば、更に加速しようと右足に力を込めた時などには、スーパーチャージャーのノイズと思しき唸りが聞こえてくるが、その程度の話。遮音もしくは音環境づくり、とても練られている。

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 一方、アクセルを緩めるなどして必要が無くなればすぐにエンジンを停止して燃費を稼ぎにいく。特に街中などの低速域では、駆動輪が後輪から前輪へ、あるいはその逆へと頻繁にスイッチすることもあり、動作はウルトラスムーズとまでは言えないが、まあ十分に許容範囲と言える。
 欲を言えば、シフトパドルの用意は欲しいところ。少しだけ減速したい時など、手元操作ですぐにエンジンブレーキを使えると有り難い。
 以上が、ボルボXC90 T8 Twin Engine AWD INSCRIPTIONの第一印象。続いては多彩な走行モード、シャシー性能などについて深掘りしてみたい。

Part.2に続く

島下泰久